ドイツ養子縁組支援法の施行
2021年4月1日、ドイツで養子縁組制度に関わる新たな法律「養子縁組支援法」が施行されました。
以下、ドイツ連邦家族・高齢者・女性・青少年省によるお知らせ(仮訳)を掲載いたします。(原文はこちら)
連邦家族・高齢者・女性・青少年省
2021/3/31 背景報告
養子縁組と養子縁組あっせん
多くのカップルにとって、養子縁組は家族を持つ唯一の手段である。養子縁組あっせんは、常に子どもの最善の利益が重要視される。2021年4月1日に養子縁組制度の広範な変更が施行されることとなった。
養子縁組の目的は、様々な理由によって実母のもとで暮らすことができない子どもに、最もふさわしい両親を見つけることである。
そのために、養子縁組あっせん機関は慎重に養親候補者の適性を調べなくてはならない。例えば、養子縁組の動機、夫婦関係の安定性、健康面などである。
その他にも、様々なさらなる条件がある。
国内、国外を問わず、養子縁組を希望する者は、ドイツ法に基づく法的能力を有し、25歳以上でなくてはならない。婚姻している夫婦において、片方は25歳以下でも良いが、21歳以上でなくてはならない。養子縁組の年齢の上限は法的には定められていないが、養子と適切な(自然な)年齢差でなくてはならない。
夫婦― 性別を問わずーは原則的に養子を共同で縁組しなくてはならない。連れ子養子縁組については、継親と実親が結婚している、事実婚をしている(パートナーシップ制度)、あるいはその他の安定した同棲関係にある場合、連れ子を縁組することができる。
養子縁組に際しては、原則的に実親の両方の同意が必要である。最短で生後8週間で養子縁組が可能となる。
家族への包括的な支援と相談(カウンセリング)
養子縁組は、子を手放す親、養親、そして当然子どもにとって、一生に関わる極めて大きな転機である。それゆえ、養子縁組前、過程、そして養子縁組後まで、全ての関係者への専門的な相談や支援が養子縁組の成功のために極めて重要である。
2021年4月1日に、養子縁組支援法が施行された。それに伴い、養子縁組制度の下記の点が改変された。
- 包括的な相談:養親(家族)と実親(家族)は、養子縁組後も相談支援を受ける法的権利を有する。養子縁組あっせん機関は、彼らが必要とする支援を探すサポートをしなくてはならない。連れ子養子縁組においては、全ての関係者への養子縁組前のカウンセリングが義務である。ただし、実母のパートナー(女性)が、婚姻関係または安定したパートナーシップの下に、望まれて生まれた子ども*の養子縁組を申請する場合は除く。
- 啓発とさらなる開示性(openness):子どもにとって、自分の出自を知ることは重要である。養子縁組家庭での養子縁組についてのオープンな態度と、養親と実親の間のコンタクトの可能性が促進される。
- あっせんの強化:養子縁組あっせん機関に対して具体的なタスクをリスト化することで、あっせんプロセスの透明性を担保する。連携の要請は、養子縁組あっせん機関と他の支援機関とのネットワークを強化するものである。
- 機関を通した国際養子縁組:国外からの養子縁組に際しても、子どもの最善の利益が重視される。それゆえ、国外からの養子縁組は公認の養子縁組あっせん機関を通して行われねばならない。これは、国際的な保護基準が遵守されていることを保証するものである。国外での養子縁組の成立に対する認証のプロセスが義務化されており、それは法的な透明性を担保する。
*(訳者註)同性婚(女性)の1人が生殖医療などによって子どもを授かった場合、そのパートナーは連れ子養子縁組を行うことができる。