記録にアクセスするには

養子となった子どもたち等しく「できる限り親を知る権利(子どもの権利条約7条)」を有しています。親を知ることは、子ども一人ひとりの心理的な安定を担保し、自己肯定感を高め、アイデンティティ形成にも不可欠な過程です。ここでは散らばる記録や情報にアクセスする方法を紹介します。

戸籍

戸籍は、日本国民の国籍と出生から死亡に至るまでの親族関係(出生、婚姻、養子、認知、死亡等)身分を登録し、公証する制度です。戸籍謄本を取得すると、出生地、(生みの)父母の氏名、続柄がわかります。父母が婚姻や父からの認知の有無もわかります。養子当事者は、出生してから特別養子縁組されるまでの従前戸籍については、請求することができます。但し、特別養子縁組が成立した後の父母の戸籍は、正当な理由がないと請求できません。詳しくは以下のページをご覧ください

民間あっせん機関の記録

民間の養子縁組あっせん機関には、取り扱い記録、調査記録等が保管されています。養子縁組に至った経緯、支援経過、生み親から聞き取ったさまざまな情報(家族構成、成育歴、学歴、趣味・嗜好、性格、所属、健康情報等)が記録として残されているでしょう。また、養子縁組支援当時を知る職員が、当時のエピソードを語ることができるかもしれません。あっせん機関が管理・保存している記録の中には、養子当時者の情報も含まれているはずです。どのようにしたらその情報を入手できるのか、相談してみるとよいでしょう。

児童相談所の記録

児童相談所による里親委託から養子縁組が成立した場合は、管轄の児童相談所に当時の記録が残されているかどうか、問い合わせてみるとよいでしょう。戸籍を請求して養子縁組が成立した当時の住所地を管轄する児童相談所に電話をするのが相談の一歩になります。

参考 全国の児相相談所一覧(子ども家庭庁)

児童相談所の記録を請求する

個人情報の開示請求

個人情報保護法は、個人の権利や利益を守ることを目的に定められています。「行政機関の保有する個人情報保護に関する法律」は「何人も、この法律の定めるところにより、行政機関の長に対し、当該行政機関の保有する自己を本人とする保有個人情報の開示を請求することができる」(第90条第1項)と定めています。

個人情報の請求に理由は不要であり、未成年者にも請求権(12~15歳については、法定代理人の同意が必要と考えられています)があります。養子が未成年の場合には、養親が未成年者の法定代理人として請求することもできます。

個人情報の開示請求

・開示請求書を入手する
・児童相談所に行く、もしくは児童相談所を設置する自治体の個人情報担当窓口に行く
・郵送による請求も可能

「開示を請求する保有個人情報」には、下記のような表記ができます。
例① 私に関する児童記録票及び指導経過記録票その他〇〇児童相談所が保有する全ての文書
例②〇〇児童相談所の保有する私に関する情報の全て

開示請求すると、原則は開示されます。但し、次のような情報は、開示されず、黒塗りとなります。 

・生み親等の第三者の情報
・開示しないことを約束して、保有している情報
・親権者による請求の場合は、開示することで未成年の利益に反すると判断された情報

乳児院・児童養護施設の記録

養親に引き取られる前に養子が乳児院や児童養護施設に入所していた場合は、当時の記録が保管されていることでしょう。入所施設には、子どもの日々の生活記録、健康記録、生みの家族の訪問記録などが残されている可能性があります。どのようにしたらそうした記録を閲覧、入手できるのか、相談をしてみるとよいでしょう。


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